専業主婦の確定申告、いくらから?扶養の壁とやり方解説
「パート収入が少し増えたけど、確定申告って必要?」
「メルカリやハンドメイドで稼いだお金、どうすればいいの?」
「扶養から外れたくないけど、いくらまで稼いでいいのか分からない…」
パートや在宅ワーク、フリマアプリでの販売など、専業主婦の方が収入を得る方法は多様化しています。収入が増えるのは嬉しい一方で、税金や確定申告に関する悩みも増えていませんか?
「確定申告は難しそう」「自分には関係ない」と思っている方も多いかもしれませんが、実は知らないままだと損をしてしまうケースや、思わぬ税金の支払いが発生する可能性もあります。
この記事では、確定申告初心者の専業主婦の方に向けて、以下の点を分かりやすく徹底解説します。
- そもそも確定申告はいくらから必要なのか
- 扶養内で働くための「年収の壁」の正しい知識
- 初心者でも安心な確定申告の具体的なステップ
- 払いすぎた税金を取り戻す方法(還付申告)
この記事を読めば、確定申告の不安がスッキリ解消し、ご家庭の家計に最もプラスになる働き方が見つかります。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも専業主婦に確定申告は必要?基本をチェック
「専業主婦は確定申告不要」というイメージがありますが、それは必ずしも正しくありません。まずは、確定申告が必要かどうかを判断するための基本を理解しましょう。
確定申告が必要になる所得は「48万円」から
確定申告が必要かどうかを判断する重要なキーワードが「所得」です。
所得とは、1年間(1月1日~12月31日)の「収入」から「必要経費」を差し引いた金額のこと。例えば、ハンドメイド販売で100万円の売上(収入)があり、材料費などの経費が30万円かかった場合、所得は70万円になります。
原則として、この年間の合計所得が48万円を超えた場合、所得税の確定申告が必要になります。
なぜ48万円かというと、これは税金の計算から一律で差し引かれる「基礎控除」の額だからです。所得が48万円以下であれば、基礎控除によって全額が差し引かれ、所得税が0円になるため申告は不要となります。
ポイント
- 収入:稼いだお金の総額(売上)
- 経費:収入を得るためにかかった費用
- 所得:収入 - 経費
- 確定申告の目安:年間の合計所得が48万円を超える場合
扶養の条件「103万円の壁」の正体とは?
よく耳にする「103万円の壁」は、夫の税金に関わる重要なラインです。これは、妻が夫の「配偶者控除」の対象になれるかどうかの基準額です。
パートやアルバイトで得た収入(給与収入)の場合、最低55万円の「給与所得控除」が適用されます。そのため、年収103万円以下であれば、所得は48万円以下(103万円 – 55万円 = 48万円)となり、配偶者控除の対象になります。
つまり、あなたの年収が103万円を超えると、夫の所得から控除される額が減り、結果的に夫の税負担が増えてしまうのです。
内職やフリマアプリの収入は「雑所得」
パート以外の、内職やフリーランス業務、ネット販売、ハンドメイド品の売上などで得た収入は、多くの場合「雑所得」に分類されます。
雑所得は、収入から必要経費を引いて計算します。例えば、Webライターとして50万円の収入があり、通信費や書籍代などの経費が5万円かかった場合、雑所得は45万円です。この場合、所得は48万円以下なので確定申告は不要です。
ハンドメイド販売やフリマアプリでの売上も、生活用品の不用品販売でなければ雑所得に該当する可能性が高いため、経費の領収書はしっかり保管しておきましょう。
知らないと損!専業主婦を悩ませる「年収の壁」とは
「103万円の壁」以外にも、働き方を考える上で重要な「年収の壁」がいくつか存在します。これを知らないと、収入が少し増えただけなのに手取りが減ってしまう「働き損」に繋がることも。しっかり理解しておきましょう。
扶養から外れるとどうなる?家計への影響
扶養から外れると、主に2つの大きな影響があります。
- 税金上の扶養から外れる:あなたの年収が103万円を超えると、夫が配偶者控除を受けられなくなり、夫の所得税・住民税が増えます。(ただし、後述の配偶者特別控除が適用される場合があります)
- 社会保険の扶養から外れる:あなたの年収が130万円(※)を超えると、夫の健康保険や年金の扶養から外れます。この場合、自分で国民健康保険料や国民年金保険料を支払う必要があり、年間で数十万円の負担増になることも。これが最もインパクトの大きい壁です。
※勤務先の従業員数などによっては「106万円の壁」が適用される場合もあります。
収入を増やす際は、これらの壁を意識し、超える場合はどのくらい家計の負担が増えるのかを夫婦でシミュレーションしておくことが非常に重要です。
【重要】確定申告をすれば「お得」になるケースも!
確定申告は、税金を納めるためだけの手続きではありません。払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」という側面もあります。以下のようなケースでは、申告することで逆にお金が戻ってくる可能性があります。
- 医療費控除:年間の医療費(家族の分も合算可)が10万円を超えた場合
- 寄付金控除:ふるさと納税をした場合
- パート先で源泉徴収されている:パート収入が103万円以下でも、毎月の給与から税金が天引き(源泉徴収)されている場合、確定申告で払いすぎた税金が戻ってくることがあります。
これらの控除は、年末調整では対応できないため、確定申告が必要です。「自分は対象かも?」と思ったら、ぜひ申告を検討してみましょう。
初心者でも安心!専業主婦の確定申告・3つのステップ
「やっぱり難しそう…」と感じる方へ。確定申告はポイントさえ押さえれば大丈夫です。ここでは、具体的なステップを3つに分けて解説します。
ステップ1:まずは必要な書類を準備しよう
確定申告で慌てないために、日頃から書類を整理しておくことが大切です。
- 収入を証明する書類:パート先の源泉徴収票、支払調書、売上を記録した帳簿など
- 経費を証明する書類:材料費や通信費、交通費などの領収書やレシート
- 控除に使う書類:医療費の領収書、生命保険料控除証明書、ふるさと納税の寄付金受領証明書など
- 本人確認書類:マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証など)
- 還付金の振込先口座情報:申告者本人名義の口座
経費のレシートは月別に封筒に入れる、スマホで撮影してクラウドに保存するなど、自分に合った方法で管理しましょう。
ステップ2:申告書を作成する(e-Taxがおすすめ)
書類が揃ったら、申告書を作成します。初心者の方に断然おすすめなのが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用したe-Tax(電子申告)です。
e-Taxのメリットはたくさんあります。
- 24時間いつでも自宅から提出可能
- 画面の案内に従って入力するだけで、計算は自動
- 医療費の領収書などの添付書類を省略できる
- 還付金の受け取りが早い(約3週間程度)
マイナンバーカードと、それを読み取れるスマホかICカードリーダーがあれば、誰でも簡単に利用できます。税務署の長い列に並ぶ必要がなく、忙しい主婦の強い味方です。
ステップ3:申告後のスケジュールを確認
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。e-Taxで申告を終えたら、あとは通知を待つだけ。
- 還付の場合:申告から約3週間~1ヶ月半後に、指定した口座に還付金が振り込まれます。
- 納税の場合:納付期限(3月15日)までに、コンビニ払いや口座振替などで税金を納めます。
また、確定申告をすると、その情報が市区町村にも連携され、翌年の住民税額が決定します。6月頃に住民税の通知書が届くので、忘れずに納付しましょう。
確定申告をラクにする!便利ツールと相談先
最後に、確定申告の負担をさらに軽くするためのツールや、困ったときの相談先をご紹介します。
おすすめの確定申告アプリ・ソフト
日々の収支管理から申告書の作成までをサポートしてくれるクラウド会計ソフトは、非常に便利です。
- 「freee(フリー)」:質問に答える形式で入力が進むので、簿記の知識がなくても安心。初心者人気No.1です。
- 「マネーフォワード クラウド確定申告」:銀行口座やクレジットカードとの連携機能が強力。自動で収支を記録してくれます。
これらのソフトを使えば、日々の記帳が楽になり、確定申告時期の負担を劇的に減らせます。
困ったときは税理士に相談するのも一つの手
「副業収入がかなり増えた」「事業として本格的にやっていきたい」「どうしても自分でやるのは不安」という場合は、税金のプロである税理士に相談するのも選択肢の一つです。
特に、節税効果の高い「青色申告」に挑戦したい場合は、専門家のアドバイスが心強いでしょう。費用はかかりますが、ミスの防止や効果的な節税に繋がり、結果的にプラスになることもあります。初回相談は無料で行っている事務所も多いので、一度話を聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ:まずは自分の収入状況を確認してみよう
今回は、専業主婦のための確定申告について、基本から具体的な方法まで解説しました。
この記事のポイント
- 副業などの合計所得が年間48万円を超えたら確定申告が必要。
- 夫の扶養内でいたいなら「103万円」「130万円」の壁を意識する。
- 医療費控除やふるさと納税は、確定申告で税金が戻ってくるチャンス!
- 申告は自宅で完結するe-Taxが圧倒的に便利で簡単。
- 日々の収支管理には会計ソフトを活用するとラクになる。
確定申告は、決して難しいものではなく、正しく理解すれば家計の強い味方になります。まずは、今年1年間のご自身の収入と経費がどれくらいか、一度計算してみることから始めてみませんか?
この記事が、あなたの確定申告に対する不安を解消する一助となれば幸いです。